音楽之友社から上記タイトルの本が出版されました。
これはソフト・ロックの第一人者である佐野邦彦氏らの執筆によるもので、先に出版されている「ソフトロックA to Z」の日本版ともいえるものです。
取り上げられているアーティストは過去の評価にとらわれずに執筆者がよいと思ったものだけを取り上げたと書かれていましたが、ピコもシングアウトも取り上げられていないのにはがっかりすると同時に疑問を感じざるを得ません。
なぜ佐野氏がとりあげなかったのかはわかりませんが、単なるムーブメントとして捉え、その結果はずしたのであればいささか失望を禁じえません。なぜなら彼等の音楽がムーブメントとなったのはその卓越した音楽性が十分アピールした結果だと思うからで、単なるおしゃれな音楽ということでムーブメントになったのではないと思うから。
仮にすでにピコやシングアウトは周知のものとして取り上げなかったのだとしてもやはり疑問は禁じ得ません。
もともとソフトロックとは60−70年代という限られた時代の音楽であることから、当時を知らない若い世代はこの種の本に頼らざるを得ず、かつて「ソフトロック
A to Z」が彼等にとっては一種バイブルの役を果たしていたことを考えると、本書でとりあげられている曲は、正直いってリアル・タイマーの私にはなぜこの曲をソフトロックとしてとりあげるのか、というような曲が多数含まれています。
もともとソフトロックがどういう音楽を指すかあいまいなところがあるとはいえ、ここまで範囲を拡大すると、もはやわざわざソフトロックと呼ぶ必要がどこにあるのだろうかと思えてきます。(ちなみに私は佐野氏と同年齢)
佐野氏には何の恨みもないし(笑)その功績は十分に評価しますが、本書がようやく市民権を得つつあったソフト・ロックを再びわかりにくいものにしてしまったと懸念するのは私だけでしょうか?
ちなみにこの本ではシングアウトの惣領氏が後に結成したプラウンライスと
奥方の惣領智子氏(ティナ)のことはとりあげられています。 |